2011年2月28日月曜日

Schneeglöckchen

雪解けの庭を眺めていると、見慣れない花が群生している。去年引越して来たときは草ぼうぼうの荒れた芝生の庭。夏の盛りを終えて草刈りをしたものの、取り立てて変わり映えのないただの芝生だけだったはずが…


おや、これは…、スノードロップ、待雪草”Schneeglöckchen”ではないか。春を告げる花で、聖燭節の日にこの花をボウルに集積して家に持ち帰ると、家が清められるという言い伝えあるらしい。耐寒性のある花だけど土壌を選ぶ花ともいえる。まさかこれが内の庭に群生しているとは…。


花言葉は「希望、慰め、逆境のなかの希望」。…なんかしみじみするなぁ。

2011年2月21日月曜日

Sakeprobe

Parisでくずし割烹を営んでおられるChefからのご紹介で、日本酒の輸入販売業を営んでいるディックさんを店にお招きし、試飲会を開いていただきました。本当に久しぶりに美味い酒を堪能させていただいた。この方、オランダ人ですが、もう完璧な日本語、いや京都弁を話しはります。話題もローカルな内容も含めて、本当に楽しめました。もちろん日本酒の知識も深く、広く、おはずかしながら日本人である僕よりも博識です。新しい発見と刺激を得る大きな機会となりました。


上の写真の一番左、Roseっぽく見えるのが赤米で作った酒。まるでシェリー酒のような味の深み、Smokyなテイスティングは、日本酒の新しい方向性を生み出してくれる予感が多いにしました。上3種はどれも甘みと酸味があり、個性も豊かなので食前酒として会いそうですが、敢えてこの個性に見合う料理を発見できないかとも考えさせられました。


もっとも気に入ったのはこれ。純米吟醸の生原酒。まさかドイツでこのクオリティーが頂けるとは…と唸らせる一本。これは僕の持ち味で行く寿司や刺身の相性とぴったり。
料理はやはり飲み物と一緒にコーディネートされなくては、としみじみと実感。


今回持ってきていただいたのは二十数種類の純米酒と梅酒。どれも日本の酒蔵まで出向いてご自身が納得して買い付けてきたものばかり。まさにヨーロッパにおける酒の伝道師です。そのこだわりと深い憧憬、情熱は並々ならぬものがあります。


え~と…と言いながら美味い美味いと飲みつづけて、最後にはホロ酔いを過ぎてかなりいい気分に。今回の個性あふれる純米酒のテイスティングで、新しいメニューのひらめきも生まれました。本当に今日は実りのある一日でした。

明日はまたTV取材。寿司職人が扱う道具をテーマに取材が入ります。何でもドイツ人に包丁の扱い方などをレクチャーするらしい。さてさて、どうなりますか…?

2011年2月15日火曜日

Küchenmesser ”有次”

新しく包丁を新調。京都では宮内庁御用達の名品”有次"さんにお願いして、柄を黒檀で作っていただきました。かつて私がお世話になった料理長が使用していたものと同じ。


一時帰国していた妻に引き取りに行ってもらった。これまで愛用してきた柳もすっかり手に馴染んでいたけれど、また新たな気持ちで板場に立つ決意です。


今日はその帰国する妻を迎えにHamburgまで行ってきたけれど、せっかくのついでなので、Hamburgでいま評判のSushiBarにオーナー夫妻と行ってきた。話ではChefは日本で寿司の修行をしてきたといい、その技術を持ってヨーロッパスタイルの新しい寿司を創造していくということをコンセプトにしているらしかった。
しかし寿司を任されているのはアジア系の人で、盛り付けも使用している器も感心できなかった。
寿司というものはこういうものだ。そんな固定観念にとらわれる必要はないと、僕も思う。でもしかし、寿司うんぬん以前に、料理としてこれで良いのか? と問いたい内容でした。
ともあれ反面教師。これを教訓にしていかなあかんなぁ…と思いました。そういうわけで写真も撮って来たけれど、伏せておきます。

2011年2月2日水曜日

Newadigest.de


ドイツに在住する日本人向けに発行されている情報誌に掲載されました。初めて僕の料理について評価を頂いた記事で、とても好印象に書いて下さっている。ありがたいです。

http://www.newsdigest.de/newsde/content/view/3239/114/

2011年2月1日火曜日

Gerhard Oppitz

世界的有名なピアニストの一人、Gerhard Oppitz氏が店に訪れたのは先週木曜日の夜。音楽責任者の方の招待で来られたのですが、私の寿司をたいそう気に入って頂き、翌夜にはお一人でお忍びで来店。日曜日にも昼の部の公演を終えて3度目の来店を頂きました。
ソロピアニストとしてでなく、美食家でも有名な方に認めていただいた、というのは僕にとって大いなる資産です。
月曜日の夜は店も休みなので、オーナーのはからいでコンサート(最終日程の)に招待いただき、何と公演後に楽屋訪問までさせていただいた。演目のサン・サーンスのピアノコンチェルトは初めて聞く曲だったけれど、とても心浮く素晴らしい曲でした。Kielのオーケストラもこじんまりとして入るけれど、アットホームで飾り気がなく、親身にうまく曲一曲をまとめあげていた。気取っているわけではないけれど、くだけるわけでもなく、それでいて安心できる居心地の良さのようなものを感じるオケでした。
そして頂いたサインです。お気に入りの”Transcriptions&Variations"のCDライナーノーツに書いていただきました。この仕事をしていて良かった…ということを改めて噛みしめる夜です。今夜は日本酒が美味い。


「あなたは幸せですね、こんな腕のいい寿司職人さんがいて」、Oppitzさんがオーナーに讃えたお言葉でした。なんだか泣きそうになる嬉しい讃辞に、心が満たされていく。あぁ、良い夜だなぁ…。