2010年8月31日火曜日

夏の終わり

夏が終わります。毎日のほとんどが曇り空。よくあるのが通り雨。強く冷たい海風が吹く日はもう冬支度です。冗談でなく、本当にコートにマフラーが必要になります。先日我が家も初めて暖房を入れました。8月からそれでは先が思いやられます。

それでもいきなりモーゼの十戒の如く、低く垂れこんだ雲が切り裂かれ、広く澄んだ青い空が広がるのです。そこを流れる雲の何とドラマチックなことか。Kölnで見る空とはまた違います。



次いでご紹介するのは、散歩道で見つけた面白標識。森の手前の一軒家の庭先に建てられていた物。恐らくアメリカ出身の方が住んでいる…のかもしれない。



お次は家の近くの大通りにある標識。何気に通り過ぎようとして目に飛び込んでくる「戦車」のスピード規制。上は軍用ジープ? 一応近くの港はドイツ海軍の母港なんですが…、これが冗談なのか、マジなのかは今のところ不明です。近所のスーパーの近くに立っているのでほぼ毎日目に入るから、余計気になる。



お次は、我家の近くで採取した果物たち。リンゴはさらに沢山採れたのでジャムに。もちろん自然に生ってます。どんだけ田舎なんだ! と実感する。子供たちも自然派になるかも。どれも採れたて新鮮で、結構甘いです。

2010年8月30日月曜日

Home Sweet Home


今回、初めて庭付きの家に住むことになりました。(2度目のUPだけど…)とても小さいですが、庭に変わりはありません。向かいは違う住居の植え込みの木々の茂みですが、ぱっと見たところ緑が深く、視野にゆとりがあります。
子供の頃は「庭付きの家」に住むのはどこかの社長さんか有名人だと思っていました。僕も日本にいたら、こんな所には住めなかっただろうな。
もともと所有欲が人並み以上にない質なので、持ち家とか立派な住居なんか欲しがらないのですが、いざ幸運にもこうして住む機会を得ると、「悪くない」と感じました。


リビングは前の住居と比べて狭いですが、その分家族がそれぞれに部屋を持つことができ、トータルでは広くなっている。それでも大都会Kölnと違って地方都市のKiel。お家賃は今までよりもお安い。

さてさて、間もなく9月に入りますが、それと同時に新規開店レストランの準備に拍車がかかります。ゆっくりしていられるのも今のうち! 気合も入りますよ。

2010年8月27日金曜日

Hamburg ②

写真をもうチョイUP。


こんな重厚な建築物が多かったな。しっかり現在も使われているのがまたすごい。


かと思えば、港近くは建築ラッシュ。どんどん新しいビルが建っている。


倉庫街の中には隠れ家的レストランも…。どこにあるか見つけてみるのも楽しいかも。


蔦の絡まり具合がいい味出してる。時代に風化しない。歴史をそこに刻み込んでいる。


市庁舎前。運河を前にロックコンサートが開かれていた。とはいっても60年代ロックのコピーバンドだけど。それにしてもKielには現在2店舗しかない日本料理レストランも、この界隈だけで4軒くらい見つけたかな? いやぁ…大都会でした。

Hamburg

Hamburgに行った最大の理由がこれ、荒木経惟の個展! …です。
「SILENT WISHES」と題されたこの個展、「愛しのチロ」「冬の旅」にも代表される愛妻「荒木陽子」夫人との私小説的世界を収めたかなり内容の濃い展覧会でした。
アラーキーの作品に出会ったのはもうかれこれ20数年くらい前…です。当時からただのエロスではない、写真で小説を描く作家として、深い感銘を受けていました。まさかここドイツで最愛の妻を追った作品を一堂に会する機会に巡り合えるとは!! 作品は代表作から初めて観るものまで数多く感動! 僕は美術展などではまずカタログは買わない主義ですが、このときだけは別でした。この作品群は今までにない感動に包まれている!…と勇んで売店へ…が、「品切れです」と張り紙が。
いや、それでも満足です。ドイツの方にも理解されているアラーキーの作品。日本人として誇りです。そんな荒木経惟も前立腺癌を公表している。最近「癌」を患い、これを公表している方が多いですね。それだけ皆が歳をとっているということですか…。
 


気を取り直してHamburg観光。
街を運河が行き交い、今までのドイツの代表的風景とは打って変わって、何ともおしゃれな大都会。



いままでいたKölnが大阪的なのにたいして、Hamburgはまるで東京。もしくは横浜?
クラシックな街並みと近代的な建物、港町として発展してきたこの街は、僕には少し大仰過ぎた。



街中でいろんなイベントが行われているらしく、観光客も多い。なんか気疲れしてしまいそう。お昼に入ったドイツ料理レストランも観光客相手のレベル。「魚の盛り合わせ」とあったが出てきたのは量的に二人前はある鰈のバターソテー。申し訳程度に小さなエビが付いてたが、Kielにあるレストランの方がずっと美味い魚料理を食べさせてくれる。というわけで今回は写真もなし。



北ドイツに来てあえてドイツ料理レストランでは「魚」を注文している。文句なしにKölnで食べていた物よりはるかに新鮮で美味しいのだが、なぜか身近に魚屋がない。みんな家では作らずに、外食で食べているのかも。



Hamburg、見どころは多いです。写真もたくさん撮りました。でもひとつ注意するとすれば、次回訪れるときはどこに何をしに行くかをきっちり決めてから行こうと思います。昼にどこで何を食べるか…までしっかり下調べをして。これ、大きなポイントです。

2010年8月26日木曜日

Kiel 散策

たまった写真がたくさんあるので…続けてUP。
Kölnでは通勤1分、という環境の中で暮らしていたので体がすっかり怠けている。今後は自転車通勤で約15分。何とか怠惰にたるんだ体を引き締めようと毎日自転車を使って買い物がてら散策に。

写真は北海とバルト海を結ぶ運河"Nord-Ostsee-Kanal"の入り口。毎日大きな貨物船や客船が行き交う。



話ではこの運河の使用料はかなり高いらしい。けれどデンマークの先を大回りすることを考えるとかなりの時間短縮。それでほぼ世界中の船という船がここを利用する。



で、そんな行き交う船を眺めるための展望台までもが用意されている。一応大人1ユーロ、子供50セントだったらしいが、無賃で入場。というか入場料の案内が分かりにくかったので、あとでお金がいることを知ったのです。改札すらないので、なんだかよくわからない。払っている人もいるし、払っていない人もいる。…真相はいかに?



帰り道には廃線に打ち捨てられた古い貨車を発見。無造作にほっぽり出されていましたが、若かりし頃貧乏旅行していたころの懐かしい風景に出会った気がして、好奇心がむくむくと膨らんで、覗いちゃいました。



おおぉ! まるで「ツインピークス!」ではないか。などと唸りながらパシャリ。
ほんと、田舎にいるんだな、とこんな廃墟を眺めながらもしみじみ感じています。



次回はお隣の大都会「Hamburg」での写真をUP。

2010年8月25日水曜日

Moin Moin !

…というわけで、やって来ました。北ドイツ、Kiel。
引越して約10日経ちました。家の中も何とか生活空間を確保できるくらいに整頓でき、インターネットも開通したのでこうしてブログをUPします。



Kölnと違い、こちらはもう秋の装いです。
毎日海から吹き上げてくる風は強く、冷たい。たまに広がる晴天はどこまでも澄んでいて、どこまでも高い! かと思うといきなり暗雲が立ち込めて通り雨。この不安定な天気はこの地方独特なのか、今はまだ判りません。



Kölnとのもう一つの大きな違いは、ここがすごい田舎町であるということ。人々の表情は物静かだし、どこかシャイ。悪く言えば少しよそよそしい。それでも少し話しかければ笑顔が帰ってくる。ほんと、街全体がのどかです。家から少し歩けば自然保護区域の森が広がっている。森は柵で囲まれて野生動物が手厚く保護されている。



写真には写ってないけれど、この先には馬や鹿、雁や鴨なんかがいます。
10年前には突然変異で生まれた全身純白の鹿がいたそうな。



これは新しいWohnungの庭に咲く紫陽花とカタツムリ。今度の住居は地上階で、小さいけれど芝生の庭と大きめのテラスが付いている。これからは今までになかった庭仕事が待っています。

2010年8月17日火曜日

いよいよ!



昨日はキッチンのない我が家を気遣って友人宅で最後の夕飯。
それぞれが料理を持ち寄って楽しい食卓を…。

しかし夜半から嵐のような雨風、雷に。夜が明けて静まり返ったが、これからトラックに荷物を積み込み、約7時間Kielに向けての長旅に…。さてさて、何が待ち受けているのやら。

2010年8月16日月曜日

何でもない風景

娘と二人、こっちに来た当初お世話になった中国人シェフを訊ねた。まだ思うような仕事ができなかったとき、唯一「あなたは素晴らしい料理人だ」と励まし続けてくれた方。彼は今独立して自分の店を持っている。事あるごとに「困った時は尋ねなさい」と優しく声を掛けてくださった。



外は生憎の雨。足元のぬかるむ中、何でもない風景をぼんやり眺めていると、この街のどこに何があるのか、まだちっとも知らなかった頃のことを思い出した。



3年半を過ごした街、「Köln」。ドイツ4大都市のひとつ。ごみごみしていて、外国人も多く、怖い地域も多い。世界的ゲイの街としても有名だ。ドイツのどの街でもそうだが、この街にも広い緑地帯がある。街の中に残された自然公園や広大な芝生の広場。僕はこの人と緑の融合性にひどく感心していた。



ドイツに来た当初、13歳だった娘ももうじき16歳。ドイツではもうビールを飲んでもいい歳だ。もう少女ではなくなりつつある娘を、ほんの少し眩しげに眺める。ほんと、大きくなったなぁ…と思う。ドイツ語も普通に話し、平気でドイツ人の中に入っていくんだから、うらやましい成長だ。



中国人シェフの「陳さん」の店。久しぶりの再会に大喜びし、どんどん料理が運ばれてきた。故郷のおふくろの味「揚げパン」が前菜に、焼き餃子、唐揚げ(大盛り)、カレーライスに揚げだし豆腐に天重。彼の作る日本料理は日本人以上に日本人らしいところがあり、懐かしさがある。ものすごく懐の広い人。でも量が多すぎて食べきれず、お持ち帰りに。久しぶりに食いすぎたぁ…。
しかもお代は受け取ってくれなかった。最後にいただいた自家製の「赤酒」で乾杯。中国の赤米で作ったその酒はほんのり甘くて美味しかった。

そういえば昨日も仕事の後、店の従業員とオーナーとで夜中まで飲んでいた。「好きな店の酒を飲め」と、珍しいオーナーの大盤振る舞いでもてなされ、みんなからも祝福をいただいた。

出会いの数だけ「感謝」があります。この街で得られた感謝を忘れない。明日には離れてしまうこの街を、今日まで何でもなかった風景をいまは噛みしめるように眺めている。

2010年8月13日金曜日

カウントダウン




お客さんからいただいたワインたち。

「いままで美味しいお寿司を食べさせてもらってありがとう」
「君の寿司は完璧だった」
「この界隈ではドイツ人の中でも君の寿司の評判はすごかったんだ」
「またいつか帰ってきてね」
「Alles gute!」

連日のようにこれが食べ収めだね、と店に足を運んでくださるお客様に頭が上がりません。ドイツ語もろくに話せないのに、これだけ心が通じ合う。美味しい料理は、言葉も文化も越えていくんだな、と今また噛みしめています。ただ美味しい寿司を食べてもらいたい、とてもシンプルな目標に精進してきた結果。僕の勲章です。
明日は今のレストラン勤務最終日。気を引き締めて臨みます。

2010年8月4日水曜日

引越しの準備



今日も営業は忙しく、テーブル席は満席。昼夜ともに多くのお客様に来店いただき、嬉しい悲鳴です。
…で、昼夜の営業の間に3時間の休憩があるのですが、もっぱらこの時間帯を引越し作業にあてています。日本にいれば考える必要のなかった壁のペンキ塗りや修繕も自分でしなくてはなりません。あれやこれやを友人に聞きながら、ふぅふぅ言いながらこなしています。日本にいれば業者に頼んでお菓子とお茶を出してのほほんとしていれば良かったんでしょうが。全く所変われば…というやつです。先日は玄関口と廊下のペンキを塗り終えました。後は寝室の壁と、キッチンまわりの修繕。入居当初、住居にはキッチンがなかったので人に頼んで作ってもらいました。いま出ていくためにこれを再び解体しなくてはなりません。次に住む人が決まり、今あるキッチンを使用すると申し出があればその必要もないのですが、引越しまで2週間を切り、管理人からは何の音沙汰もないので、契約通り解体処分していかなくてはなりません。
おまけに連日の忙しさでか、右ひじが腱鞘炎…。コーヒーカップを持つ度に刺すような痛みが…。これから引越し本番なのに。先が思いやられる。

2010年8月3日火曜日

上を向いてあるこう


例年、夏はわりと閑散としているのですが、今年の夏はやけに忙しい。写真は「上寿司」一皿21ユーロなので、5皿で100ユーロを超えます。久しくなかった日本商社の方の宴会でお出ししました。景気回復、切に願います。ここドイツにいると、日本のニュースと言えば暗い話ばかり目立ってきます。というか、ドイツにいても言葉に不自由しているのでこっちの暗い話がなかなか伝わってこないからなのかもしれないな。


もう八月・・・なんですね。珍しく早起きしてパンを買いに行った時、静まり返った家の前の通りのど真ん中でワンショット。何でもないこんな風景とも、あと2週間ほどでお別れ。3年半・・・、初めての渡航で右も左も分からなく、なれない職場で歯ぎしりしながら過ごした時期も、今となっては懐かしい。
連日のように僕を慕って来店してくださるお客さん。淋しい気持ちもあるけれど、残念がって下さるお客さんも多いけれど、僕はもうずいぶん先を目指して歩き出している。
この道の先に何があるのかわからない。何が待ち受けているのだろうか? どこに行こうとしているのだろうか? つかみ取る目標ではなく、やり続けることから生まれる何かを期待して、僕はまた未来に挑むんだ。