27で料理の世界に飛び込み、37で渡独。Köln Kielを経て、現在München在住の日本食料理人。47で新しいスタートを切るべく日々精進を続けています。行ける所まで、とことん挑み続けよう。
2010年2月20日土曜日
Paris 【番外編】
息子共々、わずか二日でしたがパリを充分に満喫しました。最後にサクレ・クール寺院へ行き、モンマルトルの丘からパリ市内を眺めました。まだまだ行き足りてない所があるなぁ…と思いながらもそこから北駅まで歩きました。店をのぞきながらのんびり歩き、途中caféに入ってお茶なんかしていました。
駅に着いたのは出発の一時間半前、早いといえば早いのですが、それでもこっちに来て学んだことは、鉄道の時刻表はあてにならない、ということ! 事前に乗る列車を把握しておかないと気が気でない。
しかし、乗る列車はまだ表示板に出ていなかったので、構内の休憩所でのんびり待つことに。その時撮ったのが、上の写真。
ヨーロッパ各地の国際列車が発着するパリ北駅です。おぉ、これはプロバンス行きか。これはユーロスター、イギリス行きだな。これはどこだ? スペイン? なんてのんびり構えていたのもつかの間。
なんかおかしい…。
そうなんです。表示板に僕達の乗る列車が掲示されたのですが、ホームが出てこない。その代わり知らない文字が白地に赤く書かれている。(もちろん)意味もわからない。そして見渡すと、僕たちの乗る列車Tharysのカウンターに人だかりができていて、何やら不穏な空気が流れている。
それでようやく行動に出たが、乗客と職員の会話を聞いていると、終日Tharysは運休だということらしい。「なに!?」である。
もう一人の駅員に聞くと、「列車事故で20名くらいの死者が出ている」「ブリュッセル行きから先は終日運休」「何をやっても無理だから明日列車の予約をとりなおしてくれ」とのこと。
「冗談ではない」
僕の前のおばあさんなんかかなり切れていた。こっちの年寄りをなめてはいけない。本気で怖い。
結局、僕も相談窓口を3回もたらいまわしにされて、最後に受けてくれた職員が「東駅から19時09分発のフランクフルト行きが出るからそれに乗った方がいい」と教えてくれた。「そこから先はどうなるのか、料金はどうなるのか、とにかくここでは分からないからそっちに行って事情を説明してみてくれ」ということだ。
もはや選択の余地はない。幸い早くに来ていたからまだその列車には間に合うだろう。しかし先行き不透明な外国でのアクシデント。
とにかく早歩きで東駅に行き、インフォメーションで事情を説明すると、コンピュータで時刻表を調べてくれた。しかしこれがひどい。
マンハイムで乗り換えてステュッツガルトで乗り換え、さらにそこから鈍行列車でケルンにつくのが明朝6時。計11時間のコースだ。ありえない…、しかし翌日の仕事を考えると、何としてもここを出なくてはならない。息子には「こんな時にはこんな旅を楽しむしかないんだよ」なんて悠長に言っていたが、内心はくらくらである。
いつの間にか構内には北駅で見た同じ境遇の人たちが集まっていた。その乗る列車が表示されると、皆が一目散にホームへ駆けだした。「えぇい、ままよ」と乗り込んではみたものの、先を思うと気が遠くなる。
19:09、列車は定刻通り動き出したが、外は既に日も暮れて真っ暗。どこをどう走ってんだが皆目分からない。不安と疲れですっかりパリ気分が萎えている。このコースだと南ドイツから入ることになる。まだ雪も多く残る南ドイツで、夜中に列車を乗り換えて、それも雪で遅れたり、はたまた運休になんかなったら…そう思うと居眠りだってできない。
とその時気がついたのが、斜め後ろにいる夫婦、さっき北駅にいた人ではないか。これはもう聞くしかない。
「あなたはケルンに行くのですか?」
「そうだよ」
「私もです。今日はTharysの事故で…」
「まったく大変な事が起きたね」
「私は駅員にこのルートを教えられたのですが、正しいでしょうか?」
「どれどれ…、これはひどいね。どうしてまた目的地から離れて乗り換えした上に普通列車で行く必要があるのかね」
「僕もそう思います」
「いいかい、このままフランクフルトまで乗りなさい。そして10分の連絡でケルン行きのICE(特急)が出るからそれに乗れば1時前に着くよ。料金は別にかかるが子供を連れてこのルートは勧められないね」
この天使のような親切なご夫婦に僕はどれほど助けられたことだろう。
何度もお礼を言って、フランクフルトからICEに乗り換えました。おまけに不幸中の幸い、検札が来なかった。(つまりタダ乗りだ)
なにはともあれ、受け身でいるとろくな事がない世界です。ちょっとしたことでも遠慮なく一歩踏み出すこと、これが大きく先を左右するのです。
このニュース、日本でも話題になってました。ベルギーの列車、正面衝突で19名が死亡。どこで何に遭遇するやら…分かりませんね。
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