2010年9月27日月曜日

der Geburtstag

 娘の誕生日で昨日は久しぶりの外食をしたのだけれど、今夜は僕からのプレセントとして「和」のコース料理を作ることにした。ここドイツで手に入る食材で手軽に作れる和食をテーマに考えてみた。


前菜 「新じゃがいもと玉葱のナムル風」
ジャガイモは桂むきにしてから極細の千切りにしてさっと湯通し。玉ねぎも同様に千切りにした後よく水にさらし、塩もみする。新じゃがと玉葱、色つけに刻み葱を少々加えて合わせる。醤油、胡麻油、黒胡椒で味付け。仕上げに擦りごまをサッと和える。シャキシャキした触感と、ゴマの香りが食欲をそそってくれる。


 前菜二品目 「ふわふわ茄子の揚げびたし」
こちらの茄子は皮が堅くて噛み切れないので丁寧に皮むきし、中温の油でじっくりと揚げる。全体がきれいにきつね色になったらキッチンペーパーで絞るようにして含んだ脂を取る。だしは甘めの醤油だし(天つゆよりも少し薄いくらい)を用意しておき、上がった茄子をすぐに浸していく。このときだしは弱火で温めた状態にキープする。すべてが揚がったら火から下ろし、自然に冷ます。茄子にだしが浸み込むのはこのとき。出す直前に温め直して湯引きしたオクラを添えて器に盛る。
ふわふわの触感の茄子に浸み込んだやわらかい醤油だしが口に広がる。


椀物 「鶏のわかめスープ」
本菜を作る過程でできたスープ。鶏のだしと塩コショウ、醤油少しだけのシンプルなスープ。これに水溶き片栗粉を加えてほんのりとろみをつける。


本菜 「鶏肉のスパイシー揚げ蒸しと色んなキノコの大蒜ソテー添え」
長ったらしく書いてますが、作りたかったのはKFC風のフライドチキン。ドイツにもKFCあるんですが、どういうわけか美味しくない。カーネルサンダースが墓から出てくるんじゃないか、なんて思えるくらい。だから食べたいなら自分で作るしかないと、今回挑戦。11種類のスパイスはさすがに企業秘密だろうから、粉作りは自分の舌が頼り。それも家にある種類のスパイスで。…しかし閃くもんですね。以外にも手短なある「もの」でそれらしくなるった! 衣の配合を終えると中火で皮の方からじっくり揚げていき、両面をカリッと余分な脂を落とすまで揚げます。これを蒸し器に入れて中火で約一時間。このとき蒸し器にたまった鶏のスープが上の椀物に。
冷凍のキノコMIXは解凍してよく水を切り、残っている唐揚げ粉をまぶし、フライパンでソテーにして添え物に。
蒸しあがりった鶏を今度はオーブンで表面をカリッと焼き上げる。
鶏肉は香ばしいながらも、箸でほろほろとほぐれるやわらかさ。ジンジャーの風味があればなおよかったが、今回はこれでまずまず…としよう。


デザート 「自家製 抹茶アイス」
スーパーで普通に買えるバニラアイスを半解凍に。へらで崩しながら抹茶粉を練りこむ。完全に解凍してしまうとアイスに含まれる空気がすっかり抜けて、重く不味いアイスになってしまう。作業は手早く。そして美味しい抹茶アイスを食べたいなら抹茶粉はケチらない。これがポイント。
再びよく凍らせてから使用。

メニューそのものはあくまで家庭料理のカテゴリー。でもその内容にはひと手間もふた手間も惜しまない作業があります。
なにはともあれ、お誕生日おめでとう。君が心から美味しそうに喜んでくれたことが、最高の報酬だった。

2010年9月26日日曜日

Griechische Restaurant

娘の誕生日を兼ねて、久しぶりの外食に。行った先は家の近所にあるギリシャレストラン。以前から店の前を通っては気になっていたのですが、かつてKölnに住んでいるときにもはや感動的に美味い店を知っていたので、それでハードルを上げていた分、あまり期待できない気持ちがあり、なんとなく後回しにしていました。
感想は「やるじゃないか、ポセイドン!」 家族の皆を唸らせる味と価格とサービスでした。


まずは前菜のサラダ。香辛料が効いたドレッシングが美味しい。中に入っているキャベツの酢漬けが、ドイツのそれと違ってあっさりとシャキシャキしている。オリーブも塩味が抑えられたあっさりタイプ。素朴だが嬉しい一品。


そして本菜。僕はグリル各種盛り合わせ(Alexander-Platte)をチョイス。Gyros(ギリシャの代表的豚肉のグリル), Suzuki(豚ひき肉を香草と練り合わせたハンバーグみたいなの), LammkotelettSteak(ラム肉のステーキ)も豪勢な盛り合わせ。しかもこれには Pommes Frites(フライドポテト), Reis(トマトソースで味付け), Tzatziki (ヨーグルトベースのソース)が付いている。かなりのボリュームでまずは圧倒される。味付けも一見濃いように見えるが塩加減は意外に控えめ。香辛料でスパイシーに仕上げているけれど、くどくなく、ソースのTzatziki と一緒に食べるとまた美味しい。


最後にデザート。強力粉と水で練ったものを揚げて、ギリシャの蜂蜜、シナモンで味付けしたシンプルなお菓子。メニューに載ってなくて、テーブルの皆さんにサービスで出していた。これがもちもちしていてなかなか美味しかった。


これに僕は400mlの生ビールとOUZO酒(アニス系シュナップス、アルコール40度)をいただき、〆て15Euro。信じられない安さである。家族全員で飲んで食べて、もうだめ~って感じなっても、チップ入れて60Euro(約6000円くらい)しか払ってない。

とにかくここKielのレストランの単価が安いので驚かされる。僕が働くレストランが巷では少し一線を引く高級ランクになるので、いつもメニュー単価をどうするのか悩みの種なのです。いやはや、…それにしてもすごいな。
このレストラン、是非お勧めです。



das Internet

秋分を経て、Kielも本格的な秋模様。この写真ではまだ紅葉は眺めませんが、

 我家の家の近く、学校へ向かう道にはこの通り落ち葉が敷き詰められています。

話が変わりますが、先週また家の電話とインターネットの回線が切れました。原因は家の前をガス管の取り換え工事をしていたのですが、この作業でどうやら電話回線を謝って切ってしまったらしい。

先週末(金曜日)にネットを使っていたときに、プチプチ…と切れたりつながったり、と意味不明な状況になっていたのですが、土曜の朝には完全にネットは死に絶えていた。うんともすんとも言わない。電話で問い合わせてもたらい回しが目に見えてる(経験でよーく学びました)。やむなく街の営業所に直接訴えに行ったが、原因は分からず。「取りあえず月曜日に職員が行ってすべてをチェックします」 たとえどれだけ訴えても土日には動いてもらえないのがこのドイツ。だからおとなしく待つことに。

それにしてもインターネットはもはや生活に欠かせない存在。それはラーメンに入ってないネギ同然。もしくは炭酸の抜けたビール同然。はたまた生卵のないすき焼きと同じだ!! そんなわけで実に味気ない週末を経て、ようやくの月曜日、約束の時間を15分遅れて職員がやって来た(15分なんてこっちでは遅刻にも入らない)。早速Wohnungの配電盤を調べたところ私たちの棟がすべて回線が不通になっていることが判明。どうして他の住民が騒いでないのか、全く理解できない。現状をみるとどう考えて表の工事の不手際が明確だ、とのこと。しかし詳しいことを専門用語でべらべら、もそもそ喋られてもさっぱり聞き取れず、どうやら「おれではどうしようもないから、専門の職員にもう一度見てもらう」ということらしい。
どれくらいの日程で復旧するのか、この責任の所在はどうなるのか、もう何も分かりません。外国で生活をしているときに強いられる不便さは、こういうときに嫌というほど味される。

で、復旧は翌日の昼過ぎ、奥さんとスーパーに買い出しに行った後、何の通知もなく、また謝罪もなく、知らんまに復旧。・・・どないやねん! まったく。


学校の帰り道に見た虹。よく見るとこれ、二重です。はぁ、これみて波立つ心を落ち着かせてました。…はぁ、無力だ。







2010年9月16日木曜日

Trabant

久しぶりに見た。”Trabant”とは、旧東ドイツのVEBザクセンリンク社が製造していた小型乗用車です。2008年以降、ドイツの主要都市では排気ガスの規制が厳しくなって、こうした旧時代のクラシックな車が街に入ることができなくなってきているのですが、さすがKiel。こんなところにも長閑さを感じさせてくれる。しかしこの"Trabant"、よく見るともうボロボロ…。時代の中の風化を切実に感じます。


ようやく拝めた青空も、強い海風に流された雲に、足早に覆われる。我が家から近くの海までは自転車で10分くらいかかるんだけれど、ふとした折に吹き抜ける風に汐の香がする時がある。


そんな中で、近所の空き地に群生するバラを摘んできた。かつてWohnungのあった敷地なんで、勝手に入っちゃいけないのかもしれませんが、もう荒れ放題の中の一角に、残されていったバラの苗が強かに育って今根美しい紅の花を咲かせている。「一枝くらいもらってもかまわないよね」と、拝借。

2010年9月15日水曜日

Baustelle


先週のレストラン工事現場写真。予想より日程が遅れています。原因はこの建物が古い建築で、大がかりな改築に安全性が最重要されていたため。それも考慮してはいたものの、予想をはるかに超えて難航。オーナーも気が気でない日々が続いている。
僕自身、9月の半ばには仕事にかかるつもりで前の職場を退職してきたから、何とももどかしい。しかしこればかりはどうにもならない。今は英気を養うとき、と考えてます。




少しの進展が写真でもお分かりになると思う。柱の舗装が出来上がっている。これを作るためにほぼ1カ月が費やされてる。何でもこの柱に建物の重さ6tがかかっているらしい。まさしく安全第一です。しかしこの耐震性。日本人からみると、「本当にこれで大丈夫?」って感じです。地震のないドイツの建築物は、実はもろいのが多い。新築途中の現場なんかを見てると、ほんとに信じられない建て方しているところがあります。

次にガラスをはめ込んで、壁と天井の防音、断熱加工を施し、床の施工にはいる模様。床が完全に施工し終えるのにも4週間かかるそうです。毎日のようにオーナーも現場にはいって自ら工事に参加しています。




2010年9月14日火曜日

vhs

かつてのヴィデオテープの規格(VHS)ではありません。Volkshochschuleの略。つまり市民講座を集めた学校…というわけで、成人した市民を対象に料理講座やダンス教室、手芸、絵画、陶芸など、様々な講座を広く市民にお手頃な授業料で開いているわけです。その中でも語学に関する講座があり、僕は今回ドイツ語初級講座を受講することにしました。


ドイツに来て3年、これまでも個人的に家庭教師を雇って約一年間勉強はしてきたけれど、きちんと学校に入ってドイツ語を習うのは初めて。レストランオープンまでまだ日数がかかることをプラスに考えて、これを機に入学することにしました。


これが正門。北ドイツ独特の古い赤煉瓦作りのAltbauです。
講座は中級を希望したのですが、現在の所定員オーバーで、やむなく初級から。今日がその初日でした。
簡単な自己紹介からはじまったのですが、在独3年以上なのは…僕だけでした。(泣) みんな来独1週間や3カ月、6か月…せいぜい1年以内で、なかなか恥ずかしい。
参加生徒数は20名。全16カ国の外国人が勢ぞろいです。ほとんどがドイツ語しりましぇーんって堂々としている。特に中近東の方たちは大胆だ。「金払ってんだからちゃんと教えろよな」って感じで机にふんぞり返ってる。はぁ、文化の違いですね。
ともあれ週5日、朝8時半から12時45分までの授業が一カ月続きます。さてさて、どうなることやら。



所でここKielにも秋が訪れはじめました。少しずつ少しずつ色づきはじめる葉がこんなところに。日々の空模様も曇り空が多くなってきました。先週からもうジャケットを羽織りはじめています。

2010年9月12日日曜日

Supermarkt

ドイツに来た当初、スーパーマーケットの異常な広さに、ただ見ているだけでドッと疲れを感じたのを覚えている。日本ならイズミヤとかイオンなどが大型のスーパーマーケットになるんだろうけれど、それよりも陳列している種類と量が、やはり日本と比べものにならない。

まずはざっと青果コーナー。この辺りは日本の大型スーパーと似たところもある。違うのは種類かな。手前にあるのは「ネクタリン」。ヨーロッパで売られている普通の桃はあまり美味くないが、これはなかなかいける。あとやたらブドウが安い。こっちでは皮ごと食べます。種だって食べます。


まぁ、ドイツに来たらやはりビールでしょう。しかしこれはバラ売りコーナーの一角。箱買いは実は建物そのものが別にある。それだけでローソンが4つ分くらい入る広さ。ちなみに写真はすべて南ドイツのビール。北ドイツにも美味しいビールはあるんだけれど、なぜかあちこちでバイエルンのビールが売られている。


えーと、缶詰のスープコーナー
えーと、缶詰のスープのコーナー、パート2
えーと、缶詰のソーセージコーナー。…やれやれ。とにかく缶詰や瓶詰の食料品が多い。

チョコレートコーナー。……。
チョコレートコーナー②。…………。ほんとはまだ4ブロックある…。


米を節約するあまり主食になりつつあるパスタのコーナー。
これもパスタコーナー。この豊富さは嬉しい。


素晴らしいワインの種類!
大体3~5ユーロ(約300~500円)くらい出せばそこそこ美味いワインが飲める。
このコーナーに長居すると奥さんから白い目で見られてしまう。


生ハムコーナー。イタリアやスペイン産の生ハムコーナーです。
ドイツ産のハムや生ハム、生ソーセージのコーナー。目移りする…。
それとは別にちゃんとある精肉とハム、ソーセージの売り場。欲しい量と種類を言えば小売してくれる。勿論大量買いも。

これらはほんの一部に過ぎません。とにかくひとつのコーナーにある種類と量が半端なく多い。乳製品コーナーだけでファミリマート一件くらい入ります。…で、心配なのは良くこれで在庫管理できるなぁ…と思うんですが、案の定製造年月日を見ると手前に新しいものがあったり、中には賞味期限切れてるものもたまにあったり。しっかり自分で見て確認しないとやられます。個人主義の欧米社会ですから、それすら自己責任…みたいな感じです。

昔、中華スーパーでインスタント食品が賞味期限切れだと指摘したら、乾燥食品だから問題ないと、逆に「なに言ってるんだ」と白い目で見られたことがある。

去年の年末に久しぶりに日本に帰った時は、逆にその親切ぶりに舌を巻きましたが…。

いやはや、ところ変われば品変わる…んですね。

2010年9月10日金曜日

Schweinebauch

Kölnではわりに見かけた肉の量販店がここKielに来てなかなか見つからず、今日ようやく「Plaza」という大型スーパーで販売されているのを見つけました。約1.8kgの豚バラ肉(Schweinebauch)の塊。値段は約10ユーロ。1000円少し…かな。安い! 豚肉消費大国ドイツ。この新鮮な塊肉を見て放ってはおれまい。
今日はこれで「豚の角煮」を作ることに。本来作るのに一晩を要するふわふわ、ほくほくの「豚の角煮」を短時間で…。ここでは特別に裏技をご紹介。


まずは骨と皮を外します。
日本にいたらまずやる必要のなかった作業。これも中国人の料理人の方から教わりました。

そして食べやすい大きさにそれぞれ切り分ける。注意する点は肉の繊維に逆らうように切ること。

骨と皮は別の鍋に野菜くずと一緒に強火で煮てスープを作ります。できる限り無駄のないように。

よく熱したフライパンには油は引かず、背脂の方を下にして焼きはじめます。

結構な脂が肉から染み出てきます。これでまんべんなく肉の表面に焼き色をつける。香ばしさを出すのと、余分な脂を出すのと、うまみを閉じ込める働きがあります。だから完全に火を通す必要はありません。

ここで「裏技」。炭酸水をひたひたになるくらいまで入れる。日本では「重層」を使って野菜や肉を煮てその素材を柔らかくするのですが、ドイツでは手軽にそして安く手に入る炭酸水でまかなえます。この炭酸がもたらす効果は、動物や植物の細胞の膜を崩す作用があります。この場合、なかなかホクホクとろとろの状態にならない脂身をうまく柔らかくするのに適しています。

まずは強火で10分、その後中火でさらに煮込みます。

煮込んでいる間に生姜を皮ごと千切りに。皮の周りにこそ旨みと風味があるのです。


庭の鉢で育てている完全BIOの「わけぎ」も刈り取って来た。これも千切りにしておく。

んでまぁ…、一息入れておビールを。このキッチンで作りながら飲むビールが美味しいんです。今日はフレンスブルグの黒ビール「Frensburger Dunkel」。こっちに来てからこんな嫌みのない味わいの黒ビールにはまっています。

そうこうするうちに、ほどよい柔らかさに。竹串を脂身の方から刺して、「すっ」と通れば出来上がり。ここまでの煮込み時間は約20分。この段階で味付けしてもいいんですが、ここからは好みの問題。もう少しとろとろが好きなので、さらに20分煮込みました。

煮込み終了。そこで煮込んだ汁は惜しげもなく捨てます。日本料理で言う「煮こぼし」という作業です。余分な脂身は取れ、すっかりほぐれた肉たちを鍋に移します。

そのころには最初に煮込んだ骨と皮のスープもいい感じに。
そこでこれに使った骨を取り出して、大きさを揃えます。骨を叩き切るには少々の力仕事。

豚骨スープを鍋半分くらいまで入れ、酒、みりんを1:2の割合で投入。骨と生姜も合わせて一気に煮込みます。

甘みをみて「三温糖」を加える。日本から送ってもらった貴重な砂糖です。これだと嫌な甘みが出ない。まぁるい甘さ。そう、和菓子の甘みですね。

甘みを整えてから醤油を入れて好みの「甘辛さ」に持っていく。ほどよい照りが出たところで火を止めて、寝かせる。蓋をして最低20分は蒸らすような感じで放っておく。

食べる少し前に再び火入れして器に盛る。自家菜園の「わけぎ」を大量に乗っけて出来上がり。熱々のうちに、ホカホカ白飯と一緒に召し上がれ。
この工程で、予定通りの「ふわふわ豚の角煮」の出来上がり。

残った汁は残しておいて、翌日のお昼ご飯に…。
玉ねぎを大きめに切り、残っただしで煮込み、玉子をとじて「甘辛玉子丼」の出来上がり。実に無駄のないメニューです。お試しください。
(読んでる人がいれば…ですが)